もう15年以上も前のことだが、私が統一教会の内部にいた頃、教会員の中で名前を変えてかくまわれていたAさんという人がいた。
名前を変えてかくまわれていた理由は、「保護説得(=拉致監禁による強制説得)」から脱出してきたからである。
その人は、非常に心に傷を負っていた。
何週間も閉じ込められて、辞めるまで絶対に外に出さないという家族の異様な行動から隙をみて抜け出してきたAさんは、
「もう実家に戻れない…」
とつぶやき、ひどく哀しそうだった。
当時保護説得のことをよく知らなかった私だったが、そんな様子をみて、酷いことをする人間がいるものだと怒りと恐怖を覚えた。
拉致監禁をなくす会のブログに書かれていた情報によると、最近、千葉大学でカルト対策の公開講座が行われたという。
どうやら、統一教会の学生信者を見つけ出し、場合によっては保護説得を実行するための窓口となるらしい。
そこに参席していた反カルトの大学教授の発言に関心を持った。
「統一教会信者は、名前を変えたり、居場所を親に知らせなかったりする。そのように、統一教会の信者への干渉が強く、親と十分連絡を取れない状況に置かれていたり、会って話しても、本人自身の意見を十分聞けないようなときは、自分は、保護説得を容認する。」
と発言したらしい。
つまり、大学教授が拉致監禁を伴う保護説得を容認したわけだ。
ここで教授が述べている
「統一教会信者は、名前を変えたり、居場所を親に知らせなかったりする。」
という場合は、Aさんのように、保護説得された経験のある人、或いは保護説得される恐れの高い人だけだった。
私が教会員の頃は、親は統一教会には全く賛同していなかったが、何の心配もなくしょっちゅう家に帰っていた。
つまり、反カルトの自らの行動である”保護説得”という異常な行為が、統一教会側に恐怖感を与え、家族関係をより疎遠にしてしまっているわけだ。
まったく本末転倒な話だ。
同様のことが、韓国にお嫁にいった教会員についても言える。
拉致監禁を容認するキリスト教会は、「韓国に行った6500名の嫁達が日本に帰って来ないと親が歎いている」(クリスチャン新聞)
などとあたかも「娘が統一教会にとられた」かのように訴えているが、
実際は、そのうち9割は普通に日本に帰省している。
戻って来れない1割は、拉致監禁経験者、或いは親が反対牧師に相談している教会員だ・・。
つまり、日本に戻ると”話し合い”だと称して”脱会するまで何ヶ月も何年も監禁”されてしまう可能性がかなり高い。
それでは確かに、帰れない。
結局 保護説得は、家族を引き裂くのではないだろうか・・
いずれにしても、千葉大の例にあるような反カルトのカルト的行為があたかも正義であるかのような日本の社会と偏見の大きさに恐ろしさを感じる。
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