『我らの不快な隣人』書評より抜粋
■総合情報誌「ザ・ファクタ FACTA」8月号
「反カルト」ライターの「統一教会擁護」が波紋呼ぶ
2008年8月号 [RELIGIOUS WORLD]統一教会に入信した娘や息子を強制的に親が連れ戻し、密室に閉じ込めて脱会させる行為は、拉致監禁と呼べるのではないか――。
こんな問いかけをした本が話題になっている。7月中旬に刊行された『我らの不快な隣人 統一教会から「救出」されたある女性信者の悲劇』(米本和広著、情報センター出版局)である。
同書のベースになっているのは、2004年に月刊「現代」に発表された「書かれざる宗教監禁の恐怖と悲劇」と題するルポタージュだ。
当時、多くの宗教関係者がこのルポの内容に驚いた。それは、統一教会のシンパではなく、これまでカルトと目されるさまざまな教団を批判し続け、反カルトの人々とも密接な関係を保ってきたはずの米本氏によって書かれたものだったからだ。
米本氏は同書で、強制的に脱会させられた元信者が「拉致監禁」によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむ姿を克明に記すとともに、脱会をサポートするキリスト教の一部牧師らによるディプログラミング、すなわちマインドコントロールから抜け出す脱洗脳のための手法を糾弾し、報酬などについても疑問を呈している。
また、霊感商法対策に打ち込んできた弁護士、一部の宗教社会学者に対しても、厳しいまなざしを向けている。
根底にあるのは、カルト信者の2世の姿を描いた自身の著書『カルトの子』同様、「反カルトの子」にも悲劇が起きているとの危機感だ。
さらに「反統一教会」勢力への批判をタブー視する風潮が現代日本にあり、PTSDなどの被害が正確に伝わっていない、と考えているようだ。・・・
総合情報誌「ザ・ファクタ」8月号
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