■拉致の計画書
保護説得をする際の計画書がある。
以下に紹介するのは、夫婦まるごと拉致されたケースで両親、親族、元信者とその親たちが作成した計画書である。
拉致されたのは兵庫県洲本市に住んでいた志水夫婦(仮名)で、夫婦には二人の子供がいた。
[マンション内の準備] 電気製品、台所用品、食料、薬、洗面用具、寝具、衣服
[車の準備] 志水の叔父の知人に名前を借りて、レンタカーショップから9人乗りのワンボックスカー2台を借りる。酔い止め薬、切り傷の薬、簡易トイレ、お茶、軽食、飴など眠気ざまし。
[取り組みの仕方について] 車に出入りするときのみ、猿ぐつわをし、胸の回りをさらしでくくる。
マンションに入るときは、猿ぐつわをして、毛布をかぶせて両方から腕を組んで歩いて入る。
歩かなければ、足をくくり、引きずるか、担ぐか、しなければならない。
警察や周囲の人が出てきたときは、見張り役の人が家族のことなので心配しないで欲しいと説得する。
[役割分担について] 志水担当は8人。志水の妻担当は7人。子供は志水の妹が連れ出す。
[関係者の注意事項] 警察、弁護士を名乗って二人の行方を捜しにきても、居場所を言わないこと!マンション(監禁場所)に来るときは、尾行に気をつけること。どこから見ているかわからない。
マンションが見つかると、夜中であろうとすぐに転居しなければならないので、特に尾行に気をつけ、おかしいと思ったら、無理にマンションには近づかないこと!
人ごみを何度か抜けるか、遠回り等で尾行をまいてからマンションに近づき、エレベーターも直接3階を押さず、もっと上の階を押してから3階に下りるなど工夫する――
さるぐつわ・・一人を拉致するのに7、8人・・警察を入らせない・・・
さながら、犯罪計画書である。
志水夫妻はこの計画書通りに拉致され、偽装脱会によって解放されるまでの10ヶ月の間、
マンションに監禁され、高澤守の説得を受けている。
二人の子供は、洲本市に住んでいた志水の妹夫妻が数日間、続いて志水の両親が入信していた天理教の信者たちが夏休みの期間中、そのあとは妻の母が夫の実家に住み込みで面倒を見た。
志水の妻は子供に会いたくて、監禁中は毎日のように泣いていたという。
(参考:米本和広著 『我らの不快な隣人』より)
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