統一教会信者を、その家族が長期間に渡り、マンションの一室に閉じ込めて脱会を迫る、『保護説得』
このサイトでは、この問題を取り上げてきました。
このたび長期間の監禁から脱出した信者が起こした裁判で、監禁を指導した側と親族が敗訴するという画期的な判決が出ました。
以下、ニュースの記事です。
「統一教会を脱会して」と10年間“監禁”…信者親族に異例の賠償命令
2014.1.28 19:46統一教会から脱会するよう親族に説得されていた信者の男性が「マンションの一室に約10年間閉じ込められた」と、親族側に約2億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で東京地裁は28日、約480万円の支払いを命じた。親族側の代理人弁護士によると、脱会を勧めた側への賠償命令は異例だという。
判決によると、男性は平成9年12月から、東京都杉並区のマンションで親族から説得を受けた。親族が常時在宅して自由に外出できず、統一教会関係者と連絡を取れなかった。男性は説得に応じず、20年2月、親族からマンションを出るよう言われた。
相沢哲裁判長は判決理由で「男性を心配していたことを踏まえても、社会通念上の限度を逸脱している」と述べた。
MSN産経ニュースより
平成9年12月~平成20年2月というのは、正確には11年と3ヶ月です。
しかし、後藤さんはそれ以前にも監禁された経験があるため、実際には述べ12年と5ヶ月です。
ちなみに、今回の裁判で「保護説得」を親族に勧め、説得を行ってきた宮村峻氏に対しても約97万円の賠償責任を命じています。
宮村氏は「統一教会からの脱会請負人」として、古くから監禁による脱会を行ってきた人物で、子供を脱会させたい親たちからは、神の様に崇められてきた人物です。
保護説得による脱会に問題点を指摘しているフリーライターの米本和広氏が指摘する、「反カルトのカルト性」という言葉にあるように、親たちが宮村氏に金を貢いで我が子を監禁し、犯罪行為を犯してきたという社会の水面下の犯罪行為が、ようやく今にして法的な断罪が下されたことになりました。
さて、この事実を受けて、驚いているのは同じことをやってきたキリスト教の牧師たちや、協力してきた弁護士たちではないでしょうか?
統一教会は犯罪集団だから、と親たちに恐怖心を植え付け、「監禁」ではなく「保護」だとして、個人を数ヶ月~数年間に渡ってマンションの一室に閉じ込めて、信仰を捨てないと絶対に出られないようにする。
警察が介入しても「親子問題」だからと言えば、警察が介入するできない。親は牧師を信じて大金を払って脱会説得をお願いする。
もちろん、無事に脱会させて感謝、感謝となることもあるでしょう。
しかし、脱会した子供は、親から監禁されたことによる精神的なトラウマを一生抱えて過ごすといいます。
同じ保護説得を勧める牧師や、弁護士は、この裁判の結果に対して、どう言う反応をするのでしょうか?
「この裁判のケースは特別だから、心配することはありませんよ」
「通常は数週間もすれば、みんな脱会しますから」
「この宮村という男は牧師ではない男ですから。私は正式な牧師の資格を持っているものですから、心配しなくて大丈夫ですよ」
「お子さんを脱会させたいのでしょう?それにはあなたの愛情が必要なんですよ。この事件は親の愛情が足らなかったからこうなったんです。」
こんな感じで弁明するのではないでしょうか?
しかし、やっていることは宮村氏が行ってきたことと同じです。
信者を統一教会に奪われたことによる恨みで、統一教会を異端視しているキリスト教会。
そのキリスト教会にとって、目の仇だった統一教会に対して、その信徒を自分の教会に取り戻す有効な手段がある人物によって知らされました。
その方法が「保護説得」です。
そして、その「保護説得」の効果的なやり方を牧師たちに指導してきたのが、今回賠償責任を負った宮村氏なのです。
統一教会は、教祖の文師が他界し、教団内部の雰囲気も以前とは随分変わってきたと聞いています。
反社会的、と言われるような活動も内部で自粛が勧められ、以前のように騒がれることもなくなってきました。
果たして、この水面下の社会的犯罪は今後収束に向かうのでしょうか?
その責任は、当然ながら保護説得の実行を指導してきた牧師や弁護士たちにあると同時に、統一教会側の今後の活動にもある、といえるでしょう。
裁判長の判決理由をもう一度。
『心配していたことを踏まえても、社会通念上の限度を逸脱している。』
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