改宗監禁12年5ヶ月の体験談 『死闘』を読んで
当サイトにも、保護説得(改宗監禁)の顕著な例として、12年5ヶ月にわたる監禁状態から解放された後藤徹氏の事例を掲載しているが、その後藤氏が解放後から最高裁での判決を経て、書籍を出版された。
このような甚大な人権災害だが、政治がらみの影響で、マスコミには全く報道されない。
後藤徹氏の実体験の書籍『死闘』を読んでみたので、以下、感想を述べる。
本を読んでいる最中に感じたこと
とにかく通常ではあり得ない強制改宗『保護説得』という実体験のドキュメンタリーの本人による著書である。
しかも、12年5ヶ月にわたる長期間。
もちろん、重たい内容なので、正直複雑な心境に駆られるため、実際に体験された方が読むには、トラウマのフラッシュバックなどの可能性もあるため気軽に読める本ではない。
しかし私は、引き込まれて時を忘れて読み続けてしまった。
私は12年5ヶ月という長期間の監禁の事実は知っていたが、その細かい状況までは知らない立場であった。
そのため、具体的な内容を読んで、更なる驚きの連続だったので、引き込まれて読み続けてしまった。
以下、ネタバレになるが、12年5ヶ月という長期間監禁という事実だけでなく、追加で驚いた主な事情を羅列してみる。
12年以上という長期間監禁という事実以外にも驚いたこと
- ① 12年5ヶ月は、「二度目の監禁」だった
- ② 拉致監禁で、2度の婚約破壊を強いられた
- ③ 主要な監禁実行者は、いずれも背教した元信者である兄、兄嫁、そして妹、という異常さ
- ④ 脱会洗脳マニュアル
- ⑤ 裁判の経緯と結末
① 12年5ヶ月は、「二度目の監禁」だった
そもそも、12年以上という異常な長期間の監禁になった原因は、1回目の監禁後に後藤氏が偽装脱会し、その後の軟禁状態から脱出して統一教会に戻ってしまった経緯があったという。
そのため、2回目の監禁は、執拗なまでの長期間になり、後藤氏の開き直りにより監禁実行者の家族からは基本的人権を無視した「虐待的監禁」を継続させることになった。
② 拉致監禁で、2度の婚約破壊を強いられた

後藤氏は統一教会の合同結婚式で婚約相手がいた。最初は1992年の3万双だったが、その後、後藤さんの相手が拉致監禁にあって、離教され破壊。テレビで報道された山﨑浩子さん&勅使河原氏と同様のケースだ。
その後、1995年の36万双で新たな相手と婚約を結び、家庭出発の直前まで来ていたが、今度は後藤氏本人が拉致監禁され、12年以上の長期間に渡って監禁されたため、破壊された。
これは、他人事ならそれまでだが、本人の立場だったらどれほどの苦悩であろうか。。
基本的に、保護説得は犯罪確率を下げるため家庭出発前に実行される場合が多いため、このような心の破壊は数多く行われてきているため、保護説得後にPTSDになってしまう元信者も多いという。
③ 主要な監禁実行者は、いずれも背教した元信者である兄、兄嫁、そして妹、という異常さ

後藤氏本人は、先に統一教会に入教していたお兄さんの導きによって統一教会に入信した。
お兄さんはとても熱心な信者だったので、徹さん同様、妹さんも統一教会に導き、入信させた。
つまり、3人は同じ信仰を持ったとても仲の良い兄弟だったのである。
ところが、拉致監禁による強制改宗は、監禁下で精神を逆洗脳させる。
絶対に逃げられない環境で長期間、徹底的に教理の間違いと教祖のスキャンダルを叩きこむ。
信者は混沌としながら時間を掛けて逆洗脳され、やがて背教し、ひっくり返る。
特に真面目で熱心だった信者ほど、逆洗脳によって、統一教会を憎み、叩き潰そうという反統一教会元信者が出来上がる。
後藤さんのお兄さんは、すっかりひっくり返って熱心に信者を脱会させる脱会屋の片棒役を担うようになってしまったという。脱会屋として有名な宮村峻氏のカバン持ちのような立場になって、宮村氏と共に脱会現場に出向いて閉じ込められた信者の説得に当たっていたという。
その熱心なお兄さんに、後藤さんは監禁されたわけだ。
残念ながら、妹さんも監禁されて、お兄さんのような反統一教会の立場になっていた。
さらに、お兄さんの奥さんも、同様に監禁されてすっかりひっくり返った反統一教会の元信者。
逆洗脳によって、異常なまでに統一教会への憎しみを増している元信者の複数人の家族に、12年5か月もの間、監禁されていたというわけである。
元々仲の良かった家族と、壮絶な戦いをすることになってしまっているという、その事実がまさに保護説得の悲劇である。
④ 脱会洗脳マニュアル
裁判だと、反対牧師は、両親から頼まれて説得していただけで、監禁の事実は知らないと弁解する。
ところが実際には、牧師側が用意した強制改宗させるためのマニュアルが存在していた。
存在は知っていたが、今回のこの書籍に詳しいその物証が掲載されていた。
裁判の過程で証拠として、新潟の松村堡智牧師が書いたとされる、親族に対してどのように信者になった子供を監禁して説得するのかを具体的にマニュアルとして示しているものだ。
その内容は、えげつなく恐ろしい犯罪教唆マニュアルとなっている。
⑤ 裁判の経緯と結末
さて、12年5ヶ月の親族による監禁は、後藤氏の決意により、裁判で訴えることになった。
反対派は例のごとく霊感商法対策弁護士会から万全の反統一教会の弁護士を集めて挑んでくる。
「監禁」ではなく、親族による「保護」だと主張が繰り返された。。
刑事裁判では審議もされない不起訴処分。
そして、民事裁判では。。。
本書をご覧下さい。
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