すこし古い資料だが、保護説得による監禁を受けた被害者の人たちが、反対牧師の皆さんに向けて出した抗議文を、許可を得て掲載しておきます。
聞いて感じたのは、 統一教会側は協力的ではなく、被害者が自主的に活動していた点。
確かに教会側としてはこのようなマイナスの問題があることは、世間一般の外部には知らせたくない事実である。
しかし、その被害を受けた当事者としては、あまりにも哀しい事件である。
抗議文
今日、信教の自由が保障されている日本において、統一教会員を強制的に拉致・監禁して説得し、脱会させる事件が相変わらず続いています。
牧師をはじめとする皆さんが、信仰上、統一教会に反対することは自由であろうし、統一教会員と話し合うことも自由でありましょう。
ただし、統一教会員を子供に持つ親御さんに働きかけて不安をあおり、「拉致・監禁」という刑法上の犯罪行為を推奨・教唆・容認すること、そして監禁した統一教会員を精神的に脅迫しながら説得することは絶対に許されるべきことではありません。
牧師をはじめとする皆さんは、『それは拉致・監禁ではない。〈保護〉であり、〈話し合い〉であり、〈救出カウンセリング〉だ』と言われますが、はたして実態はどうでしょうか。この〈話し合い〉の結果、本人が統一教会を脱会するに至った場合は、結果的に〈話し合い〉だったと言えるかもしれません。
ところが、長期間の説得にもかかわらず、本人がなおも統一教会の信仰を続けたいと希望する場合はどうなるのでしょうか。監禁された我々がそうであったように、『おまえはこれでも、まだ分からないのか!』といって、皆さんが〈話し合い〉と呼ぶ、監禁という特殊状況が無期限的に続くのです。このような説得が1年近く続くことも珍しくなくなってきています。この間、当然外に出る自由も、電話をかける自由もありません。これがはたして〈話し合い〉でしょうか。
皆さんは、統一教会の修練会はマインドコントロールの技法を使っていると批判していますが、未信者に対する統一教会の修練会は、長くても4日間や7日間であり、それに参加するか否かは本人が決めることです。その間、電話をする自由もあり、途中で帰る人さえいます。そしてたとえ最後まで統一教会の教義に納得しない人もいるのです。
これに対して皆さんが行う〈話し合い〉は、統一教会員本人の意思とは関係なく拉致・監禁し、何ヵ月でも一般社会との関係を断ち切って、本人が統一教会をやめるまで、あらゆる手段を用いながら棄教を迫っているのです。当然外部との連絡もとれず、本人の希望によって途中で中断することもできません。むしろ皆さんの方こそマインドコントロールでなくて何でしょうか。被害を受けた我々としては、「これは明らかに強制改宗である」と断定せざるを得ません。
説得に携わる皆さんは、『この方法には多少の無理があるかもしれない。しかし統一教会は反社会的な団体だから、このような方法も仕方がない』という理屈で、拉致・監禁を指導、容認しているようですが、それは独りよがりな欺瞞以外の何ものでもありません。百歩譲って、仮に統一教会が反社会的な団体であるとして、その反社会的団体の信仰を破壊させるためにはどんな犯罪行為を行使しても許されるというのなら、もはや法治国家の秩序は崩壊してしまうことでしょう。
中には『親が泣いて頼むので、仕方なくやっている』と弁解している牧師も多いようです。それなら、なぜ統一教会に賛同している親御さんのところにまで、デマに満ちた反統一教会の資料を送りつけたり、拉致・監禁をしてあげましょうといって組織的に扇動する牧師が存在しているのでしょうか。我々としては拉致・監禁に関与した牧師の方々のうちで、牧師という職業を選んだときに全面的に賛同してくれたご両親をもつ方が、いったい何割いらっしゃるのか、反対に尋ねたい思いです。
我々の体験に照らし合わせてみると、皆さんは信仰的情熱に燃えて活動しているように見受けられますが、もし『統一教会は異端・反キリストだ』という理由から監禁や説得を行っているとするなら、反キリストという理由でユダヤ人虐殺を行ったナチスを非難する資格が、皆さんにはなくなることでしょう。『ナチスはユダヤ人を虐殺したが、私たちは統一教会員を迫害しているのではなく、愛をもって救おうとしているのだ』というのなら、わざわざ何ヵ月にも及ぶ監禁状態において説得する必要はないはずであり、むしろそれはオープンに行うべきことではないでしょうか。
皆さんもご存じのように、今年の2月に拉致・監禁の現場から逃げようとして誤って転落してしまった中央大学4年生のOさんは、今春より家に帰ることになっており、しかも地元の会社に就職することも決まっていたのでした。それなのになぜ拉致・監禁が必要だったのでしょうか。
その他にも、長期の拉致・監禁により職を失い、心に痛手を負って、かえって社会復帰が難しくなってしまうケースも少なくありません(統一教会をやめる場合も、やめない場合も)。
我々、「拉致・監禁による強制改宗被害者の会」は、こうした事態の続いていることを深く憂慮し、牧師をはじめとする皆さんが、刑法上、犯罪といえる拉致・監禁を指導、教唆、及び容認することに対し、即刻中止するように強く要請するものです。
以上
1994年7月1日
「拉致・監禁による強制改宗被害者の会」
(連絡先)
郵便番号101
東京都千代田区鍛冶町2─5─11 ミハラビル3F─21号
この抗議文は当時の全国の反対牧師に送られた。
その効果もあったのか、このような事件は一時期に比べて減ってはきた。良心の呵責もあり賢明な牧師も多かったのだろう。
しかし、未だに保護説得のための拉致監禁を実行している牧師は途絶える事はない。今現在も、続いている・・・
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